2020.07.17源庫

コインの両面 ~苦難と新生~

逢いことばは、新型コロナ対応による休業の後、5月末から営業を再開した。それからひと月あまり——。
休業前に比べ、いらっしゃる方の相談内容が変化しているのを日々感じる。

雇用を打ち切られた人。
仕事の依頼が激減した人。
家計のために就活する人。

多くの人々が新型コロナ禍による様々な打撃を受け、転機を迎えている。
苦しさも悩みも迷いも人それぞれだが、どの人も苦境を機に、新たな自分自身と新たな生き方を探し、発見し、力強く前に進もうとしている。
そして皆、実際に進み始める。

“ピンチはチャンス”。
よく使われる言い回しだが、これは真実だ。
苦しいことは誰も経験したくない。物事が軌道に乗ればほっとするし、信頼できる仲間ができ、仕事にも習熟すれば、その状態を守りたくなる。せっかく手にした安定や時間をかけて築き上げた成果は、失いたくない。そこに多大な苦労や汗と涙があればなおのことだ。
しかし、どんな人生にも転機は必ずやってくる。遅かれ早かれ、人生はあなたに変化を促す。というのも、人生とは、平穏と停滞ではなく、成長と拡大のプロセスだからだ。

人生に降りかかる様々な苦難や災厄は、あなたが自分の力では起こせなかった変化と前進をもたらす、サポーターでもある。それを活かせば、あなたはより豊かに発展し、嘆き防御し身を固めれば、あなたは委縮していく。
苦境は常に、あなたが現状にとどまり続けるか、もっと前に進むかを迫る大きな分かれ道だ。

人生の様々な局面は、コインのようなものだ。
コインには必ず表と裏がある。表面が苦労や問題に満ちた大変な状況に見えても、その裏面には必ず、我々が前に進むために必要なヒントが隠れている。コインの表の苦しい面ばかり見て右往左往するのでなく、裏面が伝える状況の真の意味をつかんだ時、人生の新たな局面が開かれ、人はさらに強く豊かに前進する。

コインの裏面は何を教えてくれるのか?
それは、あなたが安定と引き換えにはまり込んでいた制約を教えてくれる。
そしてもう一つ、あなたが封印してきた本当の望みに目を向けさせてくれる。

安定を失ったり脅かされたりするのは、もちろん怖いし、キツイことだ。しかし、その揺さぶりが大きいほど、あなたは自分自身の真の成長やさらなる豊かさを阻んでいた、馴染みの環境や思い込みから解き放たれる。
勤め先があり、朝から晩まで過ごし方が決まっていた時には、改めて自分のやりたいことを考え、動く必要はなかった。経営が安定していた時は、一からビジネスのやり方や環境を作り直すことは難しかった。人間関係が定まり安定していた時は、出会いは減り、新たな相手と関係を深める時間がなかなか取れなかった。

思いがけない苦難によって、あなたは多くのものを失った。しかしそれは、コインの片面だ。もう一面では、あなたは多くの可能性と機会、自由を得たのだ。これは慰めでも何でもなく、事実だ。
苦難はあなたから奪うばかりではなく、必ず新たなものをもたらす。もしあなたがコインの表ばかり見るのなら、苦難はただただ喪失だ。しかし、裏面に目を向け、そこに刻まれたサインを読み取るなら、すなわち自分を縛っていたものを知り、自分の本当の望みを発見し、それを軸に歩き出そうと立ち上がるなら、苦難はあなたに、活力を与え、新鮮にしてくれる。苦難を経て、人は新たに生まれ変わるのだ。そして新生するほど、人生は広く深く豊かになっていく。
古いものを失ったり揺らいだりしている今こそ、遊び心と度胸の出番だ。

できなかったことをやってみよう。
諦めていたことに挑戦してみよう。
本当にやりたい仕事、本当に好きな過ごし方を望み、動いてみよう。

歩き出そうとするあなたにも、日々コインは現れる。そこには常に両面がある。

表「失敗するかもしれないからやめておこう」
裏「失敗したらやめてもいいし、何か得るものがあるだろう」

表「やってみたいけど自分には無理」
裏「やって無理ならやめればいい。まずは挑戦してみよう」

できない材料を挙げて足踏みするか?
やりたいこと、できる可能性に目を向け、一歩踏み出すか?

あなたがコインのどちらを見るかで、人生はいかようにも展開するのだ。