2020.07.03雪水清花

フラワーエッセンス「深い悲しみを癒す」〜レッド・スーヴァ・フランジパニ〜

誰の人生にも訪れる、親しい大切な人との別れ。
家族、恋人、友人など、共にいるのが当たり前だった、あまりにも身近な人を失ったり、その関係が大きく変わる時、私たちの心は大きく揺さぶられます。
愛憎、悔しさ、憤り、切なさ、懐かしさ、寂しさ……。様々な思いが交錯する、苦しい動揺の時に、傷ついた心や大きな悲しみを深い部分で慈しみ、癒してくれるエッセンスがあります。
その一つが、「レッド・スーヴァ・フランジパニ」です。



深い紅色をしたプルメリア属のこの花は、一つの人間関係が終わったり、終わりに近づいたりしている不安定な時期の、感情的な混乱や激昂、苦しさや悲しみに深く作用します。また、愛する人やペットを亡くした直後の大変な苦痛や悲しみにも、力をくれる花です。

「悲しみ」という、苦しく生々しい感情は、特に今の時代、「乗り越える」ことが性急に求められ、自分の中に存在することすら許してはいけないものとされがちです。けれども、「悲しみ」に限らず、人間の喜怒哀楽の中に、不要なものや余計なものは、本来何ひとつありません。その感情を「あってはいけないもの」として否定し、追いやり、見て見ぬふりをし続けると、そのエネルギーは鬱屈した汚泥と化し、自分の心の奥深くに沈殿していきます。頭では「なかったもの」として排除したつもりでいても、抑圧された膨大なエネルギーは渦となって自分の中に存在し続けるので、自分自身の存在がどんどん重くなっていきます。その結果、いつもなぜだか力が出なかったり、精神が安定しなかったり、わけのわからない不安を感じて怯えたりするようになります。それは、抑圧された感情が、その存在を知らせるサインを送り続けてきているからなのです。

どんな感情でも、その本来のありのままを感じ切ってあげれば、必ず自然に流れ放れていきます。いわゆる「ネガティブ」な感情は、とかく私たちに悪い影響を及ぼすように思われがちですが、その感情自体が悪いというよりも、それを押しやって消化不良のまま腐敗させてしまう自らの姿勢こそが、事を厄介にし、居心地悪さを引きずる原因になっているのです。

「悲しみを乗り越える」ためには、まず何よりも、「悲しみを受け入れる」ことが絶対に必要です。それを経て初めて本当の癒しが起こり、私たちは前に進むことができます。レッド・スーヴァ・フランジパニは、そのために大いに力となるエッセンスです。
このエッセンスを摂ると、まず、圧倒的な「慈しみ(いつくしみ)」の感覚がもたらされます。それはまるで、深い悲しみや葛藤の中にある自分を、この花の優しさと慈愛が包み込んでくれるような感覚です。その静かな感覚は、あなたの心の葛藤や緊張を少しずつ緩めてくれます。それはやがて、あなたの内面に、小さな落ち着きとささやかな安らぎを生み出します。あなたは、自分の悲しみに向き合うための小さなスペースを、自分のために作ってあげることができるようになるのです。それは、悲しみという感情を弔って昇華させるための、自分だけの聖なる教会のようなものなのかもしれません。
レッド・スーヴァ・フランジパニのエッセンスは、悲しみや葛藤をただやみくもに「どうにかする」のではなく、苦しんでいる自分の心を見つめ、慈しみとともに受け入れていく慈愛に満ちた力をもたらしてくれるのです。

この花は、「ブリーディング・ハート(血を流しているハート)」という俗名でも呼ばれます。引き裂かれるような、むき出しの痛みや悲しみの渦中でも、この花がもたらす深い慈しみの感覚は、傷ついたハートをそのままに受け入れ、包み込み、思考や理性を超えて、静かに癒してくれるのです。