2026.03.28源庫

対話の力~他者という“鏡”を通して自分を知る

昨日、新しい試みである『言葉の夕べ~逢いこと場~』を開催した。

定員は4人。逢いことばの源庫と雪水清花を加えて6人の小さな集い。
毎回設ける一つのテーマを入り口に、自分の考えを伝え、他者の考えに触れながら、新しい視点の創造を楽しむ、対話型ミーティングだ。

今回のテーマは“成功と失敗”。人は誰しも成功を願い、失敗を嫌う。しかし、何が本当の成功なのか? そして失敗は本当に失敗なのか?
そんな導入で始まったミーティングだが、対話の冒頭から、参加者それぞれに「成功」と「失敗」という言葉に抱くイメージや捉え方の違いが浮き彫りになる。ある人は、それを他人との比較からくる自分の出来不出来で計り、別の人は、その時々の経験がその後の人生に役立ったかどうかで、成功と言えるかどうかを捉え、また他の人は、そもそも成功と失敗という観点自体で人生を捉えていなかったり、といった具合である。

参加者それぞれが自分とは違う観点や価値観に触れる中で、他者の考えについてどう思うのか、また、なぜその人はそのような考え方に至ったのか、意見や質問を互いに投げかける。すると、相手のことだけでなく、自分自身にも光が当たる。

いったい自分はなぜこのように考えるのか、この感じ方や生き方はどのようにして生まれてきたのか。
自分自身の心に潜む隠れた前提や盲点が浮かび上がり、自分の中の虚偽や作り事、不確かな部分が明らかになる。一方で、大切にしていた信念や考えの軸が何であるのかが、よりクリアになり、自分の持ち味や素晴らしさを確認したりもする。

実は、人は皆、互いの鏡だ。
あらゆる人は、自分と同じ部分もあれば、まるで違う部分もある。
それに対して、自分の中に浮かび上がる印象や気分、疑問や違和感、共感や納得は、ことごとく、自分という人間の本質を炙り出す。

我々は、一人であれこれ考え、悩み、自分の生き方を模索するが、誰もが多かれ少なかれ、自分の見たくない部分に無意識に目をふさいだり、恐れや執着から、巧妙に正当化や言い訳を作り出したりしてしまう。そのため、世界の見方や捉え方、価値観や目標は、必ずしも本当の自分から発したものではなく、往々にして作り事になる。
他者と心を開いて対話することは、それを打ち破る突破口になる。異質なものに触れ、他者への視点を自分に逆照射すると、実は心深くで感じていた、本当の自分の姿に出会い、実は自分自身にずっと気づいてもらいたがっていた“自分自身の声”を聞くことになる。
自分と出会うことは驚きであり、喜びである。もちろん、すぐには固まった心が開かないこともあるが、それでも何かが揺さぶられた感触は、そこからじわじわと自分自身と対峙する“その時”にいざなっていく。

『言葉の夕べ~逢いこと場~』は、正解を見つけたり、誰が正しいかを論じ合う場ではない。
参加者それぞれが自分自身を見つける場であり、様々な見方と考え方を持つ他者の姿から、今日を生きる人間の多様さに直に触れ、人生の面白さと素晴らしさを分かち合う場だ。

初回となる今回の集いから、“対話”がもたらす豊かさと面白さを大いに感じられたので、また来月、第2回の場を持ちたいと思う。

※第2回は4/24(金)を予定しています。詳細はこちら