2020.12.11源庫

一番信頼できるお医者さん ~心と体の声を聞く~

健康であるために、何が必要か?
心身ともに元気でいるためには、どんなものを食べ、どんなケアをし、どんな風に過ごせばいいのか?

その答えは驚くほどシンプルだ。心が欲しているもの、体が欲しているものを聞き、それを与えればいいのだ。
「聞く? どうやって?」
多くの現代人にはわからない。心や体の声が聞こえない。
そこで我々は、その答えを頭に聞く。つまり、何を摂取し何をすべきなのか、様々な情報を集めたり、知人や専門家に相談したりして、四の五の頭で考える。

考えてみれば、これはおかしな話ではないか? 自分の心と体のことなのだ。それをどうして他人に聞いたり、ネットや本で調べたりするのか? 誰もあなたの体質や特徴を知らないし、あなたの感覚はあなた以外には絶対に感じられない。
確かに、ネットや本には、健康に役立つ(かもしれない)様々な情報がある。それはきっと、どこかの誰かには効いたのだろう。知らない誰かには良かったのだろう。だが、それがあなたに同じ作用をするとは限らない。そして、それが、今のあなたに良いとも限らない。
どんなに美味しい食べ物も、満腹の時に食べれば心は喜ばないし体にも悪い。同様に、ある状況、あるコンディションの誰かには効いた薬が、今のあなたにフィットする保証もない。あなたの体は別の物を求めているかもしれないし、そもそも何も必要としていないかもしれない。

というわけで、メディアで紹介された健康食品や健康法を試したり、医者に勧められた薬を飲んだり治療法を試したりしても、効くこともあるし効かないこともある。時には効かないどころか却って悪くなったりする。
そこで、ますますわからなくなる。わからないから、また情報を収集する。権威や専門家のいうことを鵜呑みにする。安心できるお墨付きを探し、それさえあれば安心だと、試してみるが、やはり当たるも八卦、当たらぬも八卦、ということになる。
そこで、やっぱりわからなくなる。そしてまたいろいろ調べ、いろいろ探し……。

と、ここでちょっと待ってみよう。
わからなかったら、何もしない。性急に健康法や治療法を外側に探さない。
今、自分の体は何を求めているのか? そもそも求めているのか?

いつも頭ばかり働かせてきたので、始めは心や体が何を求めているのかなかなかわからないが、わからなければわからないままに、普通に暮らしてみる。
すると次第に、心も体も、休みたい時には、休みたいというサインをくれるし、動きたい時には、自然に動きたくなるんだという当たり前のことが、だんだん感じられてくる。
要は、自分の心のありよう、体の状態を、落ち着いて味わうようにするのだ。そうすれば、食物が必要な時は、ちゃんとお腹はすくし、必要なだけ食べれば、満腹になるのがわかる。
現代に生きる我々は、いらないものを食べ、いらない薬を飲み、いらない治療法を試すことで、元々の健康をずいぶん妨げている。
自分の心や体が求めるまでは、余計なことはしない。ただ、それだけで人は驚くほど健康になる。

我々の体は自然の一部。自分で育つ力、自分で治す力を完璧に持っている。
その力を信頼し、心身の声に敏感でいると、病院や薬が必要なことは殆どなく、実際にあらゆる病気や不調を治すのは、自分に備わった治癒力なのだとわかる。
本来、人は健康でいるようにできているのだ。

ただ心や体が本当に気持ちいいと感じるものを摂取し、本当に楽だと思うこと、楽しいこと、わくわくすることをすればいい。
あなたの心も体も、きっと流行りの健康法や、最新の医療技術や薬よりも、あなたが自然な生命である自分自身の声を聞いてくれることを望んでいる。

自然からの贈り物である、心と体。
それこそが、一番信頼できる医師であり、セラピストなのだ。