2020.08.10源庫

自分と友達になる

あなたがこの世に生を受けてから、最も一緒にいたのは誰だろう?

父、母。兄弟、姉妹。祖父、祖母。友達。恋人。仕事仲間。夫。妻。息子。娘……。
いろんな人がそばにいた。いろんな人と共に過ごした。たくさんの出会いと別れ。そしてまた出会い。あなたの人生には、数えきれない人が現れる。その中で、一番長いこと、そばにいるのは誰だろう。

実は、誰にとっても答えは同じ。
人生を通じて、一番共にいる存在。片時もそばを離れたことのない存在。
それは、——自分。

あなたがどんな経験をし、どんなことを思い、どんなことを感じてきたか。そのすべての場面に、ずっと自分自身がそばにいた。
あなたの考えも気持ちもすべて見てきた。頑張る自分も怠ける自分も、笑っている自分も、怒っている自分も、泣いている自分も、すべて見てきた。

ただただ、あなたは精一杯生きてきた。
いいも悪いもない。後で振り返れば、いくらだって反省はできる。後悔もできる。でも、あなたはその時、精一杯だったのだ。そのことを本当は全部知っている。
あなたはそんな自分にどう接してきただろう?

「もっとできるんじゃないか?」
「怠けてるんじゃないか?」
「どうしてこんなに自分はダメなんだろう」
「まだまだ努力が足りない」

あなたは、何度も何度も、自分にダメ出ししてこなかっただろうか?
心の深いところでは、何一つ自分に足りないものはないし、常に精一杯だったことを知っているのに、頭で自分を分析し批判し否定してはこなかったか?
精一杯のあるがままの自分を知っているはずの、他でもない自分自身から否定されたら、これは苦しい。本当に苦しい。
実は、人の悩みや苦しみの殆どすべての根底には、この自己否定や罪悪感がある。
物事がうまくいかなかったり、他人から評価されなかったりしたら、もちろん愉快ではないが、実のところ、それ自体はどうということはない。そんな状況に置かれ、そんな体験をしている自分のことを、自分自身で情けなく思ったり、不遇だと思ったり、惨めだと思ったりすることが、苦しみを大きく深く拭い難いものにするのだ。

あなたは自分にとって友達か?

自分自身が友達でなかったら、こんなに苦しく孤独なことはない。
何せ、ずっとそばにいてわかっているはずの存在が、自分を突き放し、否定し、そしてなおも監視し続けるのだ。

自分自身が友達でいてくれたら、こんなに心強いことはない。
何せ、本当のことをわかっている存在が、いつも認めてくれ、応援してくれ、信頼してくれるのだ

「でも俺は頭が悪いから……」
それがどうだというのだ?
「私は不細工だから……」
それがどうだというのだ?
「私はいつもドジばっかりでうまくいかないから……」
それがどうだというのだ?

どこまでもどこまでも、自分に悪いところを探しては、否定し続ける。
周りがどう見ようと、他人が何を言おうと、懸命に生きてきた自分なのに。
今この瞬間も、こんなに一生懸命に生きている自分なのに。

いつも鞭打ち、否定し続け、問題や不足だらけに見えるけど、本当の自分は、いつだって元気でいたくて、人と仲良くしたくて、幸せでいたい、生まれた時と同じの、染み一つない存在だ。

能力がないと言って悲しむのは、成長したいからじゃないのか?
誰かを嫌って悩むのは、仲良くしたいからじゃないのか?
苦しくてたまらないのは、幸せになりたいからじゃないのか?

自分自身と心から友達になれた時、他の誰と友達になるよりも、あなたは深く癒され、励まされ、力をもらえる。
そして、他人や周囲の価値観と関係なく、自分自身を生き始める。
あるがままの姿で堂々と生きることは、生命の最高の開花だ。その時、その人は、誰よりも強く、賢く、美しく、幸せだ。

あなたは、生まれた時からずっとともにいた、かけがえのない素晴らしい自分と必ず出逢えるのだ。