2019.09.20源庫

万物との交流

我々は、日々、様々な存在と出会う。

家族、友人、職場や近所の人々、行き過ぎる見知らぬ数多の人々。
人間だけではない。ペット、ハトやスズメ、蟻や蝶々、様々な動物。
部屋の花や観葉植物、道端の草花、街路樹。さらには、店に並ぶ野菜や果物。
そして、机、カップ、スマホ、壁、天井、ソファ、畳、カーテン……。

要するに、目に映るもの、聞こえるもの、触れるもの、すべてと出会っている。
そして、すべてが生きていて、それぞれの色、強さ、波長のエネルギーを発している。常識や思考、さらには五感では到底とらえきれない、ありとあらゆるエネルギーと、我々は、日々交信し、作用しあっている。

毎日の体調や気分、物の見方や考え方は、実のところ、こうした無限の存在とのやりとりによって影響され、形づくられている。



オーストラリア。
アボリジニの聖地として知られるカタジュタの荒野を歩いた。
長いこと雨の降っていない、乾燥の極致のようなこの場所に、いくつも植物が根付き、花を咲かせている。それは、その植物が持つ生命力のあらわれ。しかし、その生命力は決して、一つ一つの植物が独立して持っているものではない。実に強烈な大地のエネルギーが、草木に花に、生きる力を送っている。そして、木々や花々も、それぞれの色や形で、大地にエネルギーを返している。



このエネルギーの交流の鍵を握るのが意識だ。ある存在に意識を向けると、その存在との間に、エネルギーが流れるパイプが生まれる。目には見えないが、すべての存在が対話している。
そして、すべての存在は、与えるものと同じものを受け取る。意識を向けたものに、愛や感謝を送れば、同じものが返ってくる。
草花や動物は、我々が意識を向けて、愛しく見たりふれたりすると、必ずその存在に応じた精一杯のエネルギーを、我々に返してくれる。
動植物ばかりではない、空、風、大地。すべてが我々とつながり、エネルギーを交換し合っている。



実は、旅の前に左足を痛めていたのだが、カタジュタの大地の美しさや力強さに感動しているうちに、痛みが次第に治まり、かなりの距離を歩いたにも関わらず、すっかり快癒してしまった。大地の気に敬意と感謝を送ったお返しに、治癒のエネルギーを受け取ったことは疑いえない。

この世界に交信のない場所など存在しない。常に、万物がエネルギーを交換し合い、つながっている。
自分を包む、一つ一つの存在に、まなざしを向け、力を受け取り、今日もまた、健やかに生きる。